2019年02月06日

スマートプラグ + ESP32 で超シンプルに Wake On Wan

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スマートスピーカーの普及に伴いスマートホーム系製品の低価格化が少しずつ進んでいます。 最近プライベートで次の製品を買いました。今のところ安定動作しており自宅で使っている Google Home Mini との相性もよく気に入っています。

※スマートプラグを使えば家庭用電源から所定の機器への給電を手軽に操作できるため便利ですが、個人的には何らかの原因で自分の意図しない動作が起こった場合に深刻な事態につながりかねない機器との併用は避けています。たとえば少なくとも現時点で電気ストーブなどをつなぐ勇気はありません ^^;

スマートプラグを PC の起動に利用する

スマートスピーカーへの音声指示で PC を起動するアイディアには実用性があり、ネットを検索すると参考になる多くの興味深い例に触れることができます。一方で、Meross Smart Plug Mini を触っているうちにこれを使えばとてもシンプルな道具立てで同様のことを実現できるのではないかと考えました。以下の発想によるものです。

  1. このプラグはもともとルータ越しの動作を前提とするクラウドベースのスマートホーム系製品である
  2. そのため自前で通信まわりを取り回すことなく所定の機器への給電を屋内外から指示することができる
  3. ということは、上記 2. の給電対象の機器を「起動すると LAN 上に所定のマジックパケットを送り出す内容のプログラムを書き込んだマイコンボード」としておけば、スマートスピーカー経由であれ、その他の方法であれ、給電指示ひとつで簡単に LAN 上の所定の PC を起動できるはず

電源投入からのスタートなのでボード側の初期処理に多少の時間がかかることは予想されるものの全体として筋は通っています。特に難しい要素もないため国内外のどこかにすでに同一の事例があるのではないかと想像しましたが、手元でざっと見渡した範囲では見当たらないようです。そんなわけで、まあもし先例があってもいいか、と思いながらざっくり形にしてみることにしました。

実装と動作の様子

スマートプラグからの給電先は何かと融通のきく ESP32 ボードとしました。AC アダプタと USB ケーブルごしにボード単体をプラグへ接続して使います。 プログラムは以下の内容としました。対象 PC が起動すれば当該ボードはお役御免につきプログラムから給電元のプラグをオフにすることで自らをシャットダウンします。

  1. 初期処理として WiFi AP との接続を確立
  2. 所定のマジックパケットを LAN へ送出
  3. マジックパケット送出後に対象 PC へ ping を継続的に発行
  4. ping への応答を検知したら自ボードへ給電中のスマートプラグの通電をオフにする

あわせてネットワーク接続時と電源切断前にメールでその旨を通知します。この通知はリモートで操作を行う場合には状況把握のために有用ですが、スマートスピーカーへ声をかけている在宅時にはいささか冗長なのでいずれ手を加えるかもしれません。

ソースコード

Arduino IDE + Arduino core for the ESP32 環境向けに用意したプログラムです。
前項に挙げたメール通知処理には SendGrid を、プラグのシャットダウンには IFTTT アプレットを利用しています。 これらは ESP32_WakeOnLan.h 冒頭の「#define USE_MAIL_NOTIFICATION」「#define USE_AUTO_SHUTDOWN」の定義を無効化すれば省略されます。

デモ

一式の動作の様子を収めた動画です。 (1分10秒)

(注:この動画には "OK Google" の発声が含まれます。
近くに Goole Home デバイスのある場合にはご注意下さい)

余談ながら、手元では過去に何度か Wake On Wan の試みを行いそれぞれ当ブログの記事として公開しています。見返してみると道具立てに微妙に当時の状況が反映されておりちょっと面白く感じました。

時代が加速を続けています。数年後の未来が楽しみです。


(tanabe)
klab_gijutsu2 at 04:50│Comments(0)IoT | スマートスピーカ

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