新しい Amazon Dash Button に「マイク」が残されている理由
- 今、ワンボタンの IoT デバイスが面白い (2015-11-06) - dsas.blog.klab.org
新旧 Dash Button の違い
現在提供されている Dash Button は 2015年に米国でデビューしたオリジナルとは異なるものです。上のブログ記事でも触れた Matthew Petroff 氏のサイトには新旧 Button それぞれについて詳細かつ網羅的な興味ぶかい記事が掲載されています。
- (旧) Amazon Dash Button Teardown (2015-05-24) - mpetroff.net
The Amazon Dash Button it an Internet connected button that allows ordering a single product from Amazon.
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Others have already posted about disassembling it, so I’ll focus mostly on the electronics, since the aforementioned blog posts are missing high-resolution images of thecircuit board and don’t quite get some details correct.
- (新) New Amazon Dash Button Teardown (JK29LP) (2016-07-12) - mpetroff.net
Amazon updated the Dash Button’s hardware to revision two earlier this year, so I decided it was time for a new teardown (here’s last year’s teardown). The new product number is JK29LP; the old product number is JK76PL. While the form factor and case remained much the same, the internals changed substantially. The major highlights are a switch from Broadcom to Atmel chips, a switch from an Energizer lithium battery to a Duracell alkaline battery, and the addition of Bluetooth Low Energy.同氏の記事を参考にしながらまず新旧 Button の主な違いを整理してみます。
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Overall, the new Dash Button appears to be a revision designed to reduce production cost, centered around a reduction in energy usage, which allows for use of a considerably cheaper, alkaline battery.
(※余談ながら、同じ記事に注目した数日前の GIGAZINE さんの記事に先ほど気がつきましたが、特にぶつかるものでもないため草稿の内容のまま書くことにします)
電源がリチウム一次乾電池からアルカリ乾電池に
旧 Dash Button には単四型リチウム一次乾電池が内蔵されていました。
http://dsas.blog.klab.org/archives/52233150.html現在の Dash Button ではこの高価な電池に代えて米デュラセル社の単四型アルカリ乾電池が使用されています。ちなみに Amazon Dash Button は 米エナジャイザー社の Ultimate Lithium 乾電池 単4形 (二次電池ではない)1本を内蔵している。アルカリ電池に比べ「最大 9倍長持ち」を惹句とする 現時点でおそらく最強の乾電池。
データシートによると Ultimate Lithium AAA は「Max Discharge: 1.5 Amps Continuous, 2.0Amps Pulse (2 sec on / 8 sec off)」と高容量
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- Energizer L92BP-Energizer Ultimate Lithium AAA Battery (4-Pack) - www.amazon.com
$6.09 (一本あたり $1.52) - エナジャイザー リチウム乾電池単4形 4本パック - www.amazon.co.jp
¥1,340 (一本あたり 335円) - Duracell BATTERY,ALKALINE,AAA,16PK - www.amazon.com
$17.99 (一本あたり $1.12) - DURACELL 【デュラセル】 アルカリ 単四 乾電池 16本パック - www.amazon.co.jp
¥2,530 (一本あたり 158円)
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マイクロコントローラ / Wi-Fi チップの変更, BLE チップ追加, Flash メモリ容量増加
新 Button では、以前の ST マイクロエレクトロニクス社製マイクロコントローラ STM32F205 が Atmel 社(2016年4月より Microchip Technology 傘下)製 ATSAMG55J19A-MU に、Broadcom 社製の Wi-Fi モジュール BCM943362WCD4 WICED が Atmel 社製 ATWINC1500B に変更されています。一方で 新 Button の Flash メモリは倍容量の 32Mビットに増強されており、また、旧 Button には存在しなかった BLE チップがセットアップ用に追加されています。これら一連の構成要素の変更は性能強化とコストダウンの両立を目的とした判断の結果と考えられます。
U5) マイクロコントローラ:ST STM32F205 U9) Wi-Fi モジュール: Broadcom BCM943362WCD4 WICED U6) フラッシュメモリ: Micron M25P16 (16Mbit) マイクあり |
U1) マイクロコントローラ:Atmel ATSAMG55J19A-MU U19) Wi-Fi チップ:Atmel ATWINC1500B U22) BLE チップ:Cypress CYBL10563-68FNXI U15) フラッシュメモリ: Micron N25Q032 (32Mbit) マイクあり |
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セットアップ方法の変更
新旧 Button はセットアップの方法が異なります。Android または iOS 端末と公式ショッピングアプリを利用する点は共通ですが、新版が同アプリと Button との応酬に BLE 通信を使う内容であるのに対し、旧版では Android 環境では Wi-Fi 通信、iOS 環境では超音波通信を利用する仕様でした。ちなみに、旧版では Fire Phone もセットアップに利用することが可能でした。
旧 Dash Button のセットアップ
web.archive.org に旧 Button のセットアップ手順説明ページのキャッシュが残っています。 この内容から、ボタン長押しにより移行するセットアップモードにおいて旧 Button がダミー Wi-Fi アクセスポイント 兼 音声情報のリスナーとして振る舞っていたことがわかります。
- Set Up Your Dash Button (2015-09-06 時点の記事) - www.amazon.com
(スクリーンショット)
※下の図は上記キャッシュの iOS 端末向けの説明箇所からの抜粋
※動画は旧版のセットアップの様子(Youtube 2015ー08-06 投稿, iPhone)3分20秒あたりから
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新 Dash Button のセットアップ
BLE チップが搭載された新 Button ではセットアップ時の公式アプリとの応酬に BLE 通信が利用されています。
この変更によって Android / iOS プラットフォームでの手順が統一されシンプルでスマートになった反面、旧版では特に言及されていなかった対象 OS バージョンが「iOS 8.3 or higher, Android 4.1 or higher」に限定される形となりました。また、BLE 非対応の Fire Phone(2015年下期販売終了)も手順説明から消えています。
現在の Dash Button セットアップ手順説明ページ
- Set Up Your Dash Button - www.amazon.com
(2016-12-14 時点のスクリーンショット)- Dash Buttonをセットアップする - www.amazon.co.jp
(2016-12-14 時点のスクリーンショット)
- Dash Buttonをセットアップする - www.amazon.co.jp
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新 Dash Button にマイクが残されている理由
旧 Button が iOS 端末でのセットアップ時に音声信号を利用するためにマイクロフォンを内蔵していたことは理解できます。では、なぜ BLE 通信を利用する新 Button にもマイクが残されているのでしょう?使わない部品であれば製造コスト削減のためにも撤去するほうが合理的なはずです。まさか Amazon が何か良からぬことを企んでいるのでしょうか?
- Amazon Dashからマイクが見つかる、これ盗聴器だろ - jisaka.blog.jp
- Set Up Your Dash Button - www.amazon.com
Note: Some Dash Buttons and phones do not support Bluetooth connections. If your phone does not connect to your button, select Skip Bluetooth Setup. Then, follow the instructions in the app. Your phone then uses other connection options.
- Dash Buttonをセットアップする - www.amazon.co.jp
注: スマートフォンとDash Buttonが接続されない場合は、 Bluetoothをスキップを選択します。次に、アプリの画面に 表示される手順に従います。
公式アプリが Button と BLE 接続を確立できない場合はどのような所作となるのでしょう?興味を感じ試してみることにしました。
BLE 接続不可の状況を再現するもっとも簡単な方法は「Button からの BLE アドバタイジングを発生させない」ことです。つまり、アプリに求められたタイミングでわざと Button のセットアップモードを起動せずそのまま放置しておけばよいでしょう。
結論として、アプリは BLE 接続をしばらく試行した後に自動的に旧 Button でのセットアップシーケンスへ移行することがわかりました。 BLE 接続を諦めると、Android 版アプリは Button のダミー AP へ Wi-Fi 接続の切り替えを試み、iOS 版アプリは端末のスピーカーへ Button を接近させることを利用者へ促します。そのタイミングで新 Button をセットアップモードで起動すると旧スタイルでのセットアップ処理が滞りなく行われます。
つまり、新 Button のセットアップモードは旧 Button でのそれと同一の I/F を備えています。この実装は、BLE の利便性を取り入れつつも間口の広い旧版での機構を温存することによりセットアップ段階でのトラブルを可能な限り吸収することに加え、旧 Button - 新アプリ間の互換性をシンプルに保つことを目的とするものと考えられます。
Android, iOS 端末それぞれでこの操作を行った様子の動画を以下に示します。
- 新 Button を旧スタイルでセットアップ - Android 版(2分9秒 環境音あり)
- 新 Button を旧スタイルでセットアップ - iOS 版(1分33秒 環境音あり)
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図のように iOS 版に関しては本項の冒頭に引用した英語版の説明記事とほぼ整合しますが、日本語版記事は翻訳が十分ではなく(意図的なもの?)、また、Android ユーザが記事中のメッセージを目にする機会はありません。
米国内にのみ存在する旧 Button は電池寿命で徐々に消えていく過程にあります。また、BLE 非対応の端末も次第に世間から姿を消していくことでしょう。上に掲げた現 Dash Button の二段構えのセットアップ I/F はあるいは過渡的なものかもしれません。
(tanabe)




















